かつての「梅雨」は、季節の風物詩でした。
しかし今、私たちが直面しているのは、予測不能な線状降水帯や数十年に一度レベルの暴風雨など、雨の降り方も「異常」から「通常」になりつつあります。
そんな豪雨が起こす毛細管現象は、雨漏りにつながる一番の原因です。
一見しっかり施工された屋根でも、じわじわと水が浸入してくることがあります。
原因は「毛細管現象」。
あまり聞き慣れない言葉ですが、実は雨漏りや屋根下地の腐食といった重大トラブルの火種になる、見過ごせない現象です。
屋根の上の毛細管現象とは、雨水が屋根のヒビや継ぎ目などの隙間に入ろうとする力が働き、重力に反して水が吸い上げられる現象のことです。
普段のしとしと雨では問題ないのに、豪雨や強風を伴う雨(いわゆる“横殴りの雨”)では、通常なら水が流れ落ちるはずの部分に雨水が停滞・圧力を受けやすくなります。
その結果、屋根材の継ぎ目や、屋根材に入った割れ目やヒビなどに水が吸い上げられ、内部に逆流してしまうのです。
また、塗装した屋根でも、毛細管現象は起こります
「塗装したからもう安心」と思っていませんか?
どれだけ高品質な塗料を使っても、屋根材の構造的な隙間や重ね幅があると、水の侵入を完全には防げません。
ですが、塗装後に屋根材と屋根材の重なり部分にできた“塗膜のふさがり”を切って、水の通り道を確保する縁切りという作業が施されていれば大丈夫です。
毛細管現象の厄介な点は、表面上は何の異常も見られないこと。
しかしその裏では、以下のような深刻な被害が静かに進行します。
野地板や垂木などの木部が湿気を持ち腐食が始まります。
そして、断熱材や室内の天井裏にカビが生え始めます。
最悪の場合、長期間気づかずに放置され、大規模な修繕が必要になることも過言ではありません。
雨漏りというと「ポタポタと垂れる水」をイメージしがちですが、毛細管現象による被害は“隠れ雨漏り”とも言える存在で、見えない隙間から雨水がじわじわと入り込み、気づかないうちに屋根の寿命を縮める静かな破壊者です。
「屋根の見た目にきれいだから大丈夫」と安心せず、屋根の葺き替えやスレートカバー工法をすることで、大切な住まいを守ることができます。
【次回のコラム予告】
次回は、災害と屋根Vol.2をお送りいたします。
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