コラム

様々な屋根リフォーム~カバー工法~

様々な屋根リフォーム ~カバー工法~

前回に引き続き、今回は普段よく耳にする「カバー工法」についてお伝えいたします。

カバー工法は、既存の屋根を活かしつつ、新しい屋根材をその上に重ねて施工する屋根リフォームの中でも比較的手軽で、工期も短く済む方法として注目されています。
特にスレート屋根や金属屋根など、比較的フラットな屋根に対して多く採用されており、既存の屋根材をすべて剥がさず、その上から軽量な金属屋根材(主にガルバリウム鋼板など)を重ね張りするのが一般的です。
ですが、すべての屋根に適用できるわけではありません。
既存の屋根の種類や状態によって、施工が可能かどうか大きく左右されます。

この工法の最大の特徴は、古い屋根を撤去しないため、解体作業が不要で廃材もほとんど出ず、トータルの工事費を抑えられるという点にあります。
また、撤去作業を伴わないため騒音や粉塵の発生が少なく、ご近所への配慮という点でも優れています。
さらに工期も短く、天候の影響を受けにくいため、スムーズに施工を終えることができるのも利点です。

一方で、カバー工法にも注意点があります。

まず、下地の劣化が進んでいたり、雨漏りがすでに発生しているような状態では、根本的な修繕ができないため適用は困難です。
外部から見えない部分に劣化が進行している場合、そのまま新しい屋根材を重ねてしまうと、内部で腐食が広がり、将来的に深刻なトラブルを招くおそれがあります。

カバー工法ができる屋根としましては、一般的に、スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)金属屋根(トタン・ガルバリウムなど)は、カバー工法に適しているとされています。
これらの屋根は比較的平坦で表面が均一な形状をしているため、新しい屋根材を重ねる際の施工性がよく、仕上がりもきれいに整いやすいのが特徴です。

とくに、築20年以上経過していて見た目の劣化が進んでいても、下地に大きな問題がない場合には、費用対効果の高い選択肢となります。

さらに、カバー工法が適さない屋根としては、和瓦などの厚みがあり凹凸の大きい屋根材(金属屋根材も同様)や、
新たに施工する屋根材の対応勾配を下回る屋根が挙げられます。
これらの場合、基本的にカバー工法の施工は困難です。
特に瓦屋根は、一枚一枚が重く、形状も立体的かつ不規則であるため、その上から新しい屋根材を均一に重ねて施工することが難しい構造となっています。
また、立体形状の金属屋根は軽量ではあるものの、同様に凹凸が大きく、カバー工法での対応が難しいとされています。

特に瓦屋根は一枚一枚が重く、形状も立体的で不規則なため、その上から新しい屋根材を均一に重ねることは難しいのです。
また、先程注意点として述べたように、下地や野地板が腐っていたり、過去に雨漏りを繰り返していた屋根も、カバー工法には不向きです。
こうした場合は、表面だけを重ねても根本的な解決にはならず、むしろ問題を隠してしまう恐れがあるため、葺き替えによる全面改修が必要です。

また、カバー工法ができるかどうかの判断は、既存の屋根の材質・劣化の状況により大きく左右されます。
スレート屋根や金属屋根で、下地がしっかりしていれば施工可能なケースが多いですが、瓦屋根や劣化が著しい屋根では基本的に対応できません。

まずは、信頼できる専門業者に屋根点検を依頼し、屋根の構造や状態を正確に診断してもらうことが、最適なリフォーム方法を選ぶ第一歩です。
カバー工法は、条件さえ整えばコスト面・工期面で非常に魅力的な選択肢となりますが、「どんな屋根でもできるわけではない」という前提を理解することが重要です。

【次回のコラム予告】


次回は、塗装工事について見てみましょう!

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