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様々な屋根リフォーム 〜塗装工事〜

様々な屋根リフォーム ~塗装工事~

一般住宅における屋根塗装は、単なる外観の美しさを取り戻すための作業ではなく、住宅そのものの寿命を左右する極めて重要な保守工事のひとつです。
屋根は日々、紫外線や雨風、寒暖差といった過酷な環境条件にさらされており、その影響を最も直接的に受ける部位でもあります。そのため、屋根材の劣化を抑制し、防水性を維持するためには、定期的な屋根塗装による保護が不可欠です。

今では多くの住宅に採用されている屋根材、スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)は、素材そのものに防水性があるわけではなく、表面の塗膜によって水をはじいています。
この塗膜が紫外線や風雨によって劣化すると、屋根材は水分を吸収しやすくなり、割れ・反り・苔やカビの発生などが顕著になります。
こうした劣化症状は、見た目の問題だけでなく、屋根下地や構造材にまで影響を与えるため、適切な時期に再塗装を施すことで、住宅全体の健全性を維持することができます。

屋根塗装において重要な工程の一つが、「縁切り」と呼ばれる処置です。
これは、屋根材同士の重なり部分に塗料が入り込んで密着してしまうことを防ぐための作業であり、極めて繊細かつ専門的な技術が要求されます。
屋根材は、ただ重なっているのではなく、その隙間から内部に侵入した水分を外部へ逃がす“排水経路”の役割を担っています。
ところが、塗装時にこの隙間を塗料で完全に塞いでしまうと、水の逃げ道が失われ、毛細管現象によって水が屋根材内部に吸い込まれるように入り込み、雨漏りや野地板の腐朽、断熱材の劣化など、構造全体に深刻なダメージを引き起こしかねません。

かつては塗装後にカッターなどで手作業による縁切りを行っていましたが、近年では「タスペーサー」と呼ばれる樹脂製の部材を、塗装前に屋根材の隙間へ差し込むことで、適切な通気と排水の空間を確保する工法が主流となっています。
タスペーサーの導入は、縁切りを均一に確実に行えるだけでなく、施工後の雨仕舞(あまじまい)の性能を安定的に保つという点で、非常に合理的かつ信頼性の高い方法と言えます。

屋根塗装に使用する塗料の種類も、屋根の耐久性と長期的な保護性能に大きく関わってきます。
もっとも一般的に使用されているのは「シリコン系塗料」で、コストパフォーマンスに優れ、一定の耐候性と防汚性を兼ね備えています。
しかし、より高い耐久性を求める場合には、「フッ素系塗料」「無機系塗料」が検討されます。フッ素系は耐候年数が長く、紫外線による劣化にも強いため、メンテナンスサイクルを延ばしたい方に適しています。
一方、無機塗料は、有機成分が少なく、そもそも塗膜の劣化自体を起こしにくいという特性を持ち、非常に高い耐久性能を誇りますが、価格も相応に高価です。

塗料の性能を十分に発揮させるためには、施工工程そのものの品質も極めて重要です。
高圧洗浄によって長年の汚れや苔を徹底的に除去し、ひび割れや欠損部分の補修を行ったうえで、下塗り・中塗り・上塗りという3層構造で塗膜を形成します。
これらの工程を一つでも省略したり、乾燥時間を守らずに急いで仕上げたりすると、どんな高性能な塗料を使ってもその性能を発揮できません。
つまり、塗装工事とは、単に塗料を塗る行為ではなく、建物の保護機能を高めるための技術的な総合工事なのです。
特に施工品質が建物の耐久性に影響してくる工事になりますので、メンテナンスを依頼する施工会社選びも慎重に行うことが大切です。

 

【次回のコラム予告】


次回は、夏型屋根結露」の恐怖!について見てみましょう!

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