コラム

屋根勾配の地域差 西日本VS東日本

日本列島は南北に長く、気候・風土が地域ごとに大きく異なります。
そのため、屋根の「勾配(屋根の傾き)」も、住む地域によって様々です。
屋根勾配は、単にデザインの好みや建物の形状だけではなく、「雨」「雪」「風」「隣家・道路・通行人」など、暮らしや安全性・メンテナンス性など、環境条件によって設計されます。 


まず、雪の多い地域について見てみると、例えば北海道・東北・北陸など「豪雪地帯」と呼ばれる地域では、屋根に雪が積もるとその重さで建物に負担がかかるだけでなく、雪が滑り落ちて通行人や隣家に被害が出る恐れもあります。


そのため、このような地域では屋根の傾斜を大きくとった“急勾配屋根”が多く採用されています。
屋根が急こう配になるほど雪が積もりにくいため、雪荷重を軽くできます。
また、雪が落ちやすいように、屋根材に金属屋根を使うことが多いです。

一方で沿岸部など雨風が強く、台風の影響を受けやすい地域では急な勾配(急勾配)の屋根は必ずしも安全とは言えません。
屋根を急勾配にすると屋根面に強い風圧がかかり、吹き上げによる強風で屋根材が飛散してしまうなどのリスクが高まります。
そのため、このような地域では緩やかな勾配(緩勾配)の屋根や風の影響を受けにくい形状の屋根設計が比較的多く見られます。
なお、一般的な地域においては、3寸〜5寸程度の勾配が、バランスの取れた屋根勾配とされています。


屋根勾配の違いが生じる背景には、地域ごとの気候条件の差だけでなく、建築上の各種制限(斜線制限、高さ制限、日影規制など)や、屋根材の施工性、メンテナンス性など、様々な要因や設計上の意図が関係しています。
雪の多い地域では“雪を屋根から落とす”という設計意図が強く、一方で市街地などでは屋根からの落雪が通行人に当たることを防止するため、雪止金具の設置や雪が落ちにくい屋根材を採用するケースが増えています。
屋根勾配の『適正』を考えるうえでは、建物のデザイン性や「雨・雪・風」といった気象リスクに加え、屋根材の選定(スレート材、瓦、金属屋根材、アスファルトシングルなど)や、施工性・メンテナンス性(急勾配では施工効率が低下し、コストUPにつながる場合もある)も重要な要素となります。

屋根は家の“顔”でもあり、住まいの安心安全・快適を支える重要な部分です。
地域の気候・環境に即した勾配・仕様を選ぶことで、長く安心して暮らせる家づくりができます。
ぜひ「自分の住む地域だからこそ、この勾配・この仕様だ」という視点を持ってみてください。
次回は、「見てみよう!いろんな屋根材」です。

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