家の印象を大きく左右する屋根。
「見た目の好み」だけでなく、どの屋根材にも長所と短所があり、住む場所の気候や家のつくりによって合うものが変わってきます。
代表的な屋根材の特徴を、わかりやすくご紹介していきます。
陶器瓦（日本瓦）、特に釉薬瓦は、表面に釉（うわぐすり）を施しているため、雨や紫外線による劣化が起こりにくく、色あせしにくい点が大きな特徴です。
適切な維持管理を行えば50年以上使用される例も多く、非常に高い耐久性と耐候性を備えています。
また、火に強く防火性能が高いことも大きなメリットです。
一方で、他の屋根材に比べて重量があるため建物にかかる荷重は大きく、新築時には構造計算で十分に考慮することが重要です。
初期費用はやや高めですが、耐久性が高く塗り替えなどの定期的なメンテナンスがほとんど不要なため、
長期的にはコストを抑えられる場合もあります。
セメント瓦（ｺﾝｸﾘｰﾄ瓦）は、セメントと砂を主原料に成形し、表面に着色塗装を施して仕上げる屋根材です。
デザインの幅が広く、防火性能が高い点は陶器瓦と共通しており、さらに陶器瓦よりもやや軽量で、初期費用を抑えられるというメリットがあります。
一方で、陶器瓦ほどの長寿命は期待しにくく、表面塗装が劣化すると基材が吸水し、劣化が進行する事があるため、良好な状態を保つには定期的な塗り替えや点検が欠かせません。
スレート屋根は、セメントと繊維を混ぜて薄く成形し、表面に塗装や着色を施した軽量屋根材です。
軽量で施工性が高く、建物への負担が少ないため、新築や葺き替えでも扱いやすい点が大きな特徴です。
また、初期費用を抑えられるうえ、デザインや色のバリエーションが豊富で、洋風・和風問わず幅広い住宅に対応できます。
一方で、耐久性は陶器瓦やセメント瓦より劣り、塗膜が劣化すると水の浸入やひび割れが発生しやすくなるため、定期的な塗り替えや点検、必要に応じた補修が欠かせません。
アスファルトシングルは、ガラス繊維基材にアスファルトを塗布し、表面に石粒を施した薄型屋根材です。
非常に軽量で施工性が高く、初期費用を抑えられるため、新築や既存屋根への葺き替えでも扱いやすい点が大きな特徴です。
また、デザインや色のバリエーションが豊富で、洋風住宅を中心に幅広く対応できます。
一方で、耐久性は陶器瓦やセメント瓦、スレート屋根より劣り、紫外線や風雨で劣化が進みやすいため、定期的な点検や必要に応じた補修が欠かせません。
さらに、軽量である反面、強風時には飛散のリスクがあるため、施工時には専用の釘や接着材でしっかり固定するなど、風害対策も重要です。
金属屋根は、主にガルバリウム鋼板やアルミ、銅などの金属を成形し、塗装などの表面加工を施した屋根材です。
非常に軽量で施工性が高く、耐久性や防火性能に優れていることも大きなメリットで、屋根材の仕様によっては初期費用に幅がありますが、デザインや色のバリエーションも豊富で、和洋問わず幅広い住宅に対応できます。
一方で、耐久性は素材や塗装によって異なり、紫外線や風雨による塗膜劣化や錆の発生には注意が必要で、仕様によっては雨音や衝撃音が大きく感じられる場合もあります。
石粒付金属屋根は、ガルバリウム鋼板（ジンカリウム鋼板）などの金属を成形し、表面を塗装ではなく細かな石粒でコーティングさせた屋根材です。
金属の軽さと強さに加え、表面に吹き付けられた細かい石粒によって、落ち着いた質感と高級感を兼ね備えた屋根材です。
石粒が金属面を保護するため、色あせしにくく、長期間にわたり美観を保ちやすい点が特徴です。
また、台風時の強風によるめくれや飛散に強く、耐風性能に優れた屋根材です。
雨音も石粒が和らげてくれるため、金属屋根でよくある「音の響きやすさ」も抑えられます。
初期費用は一般的な金属屋根より高めになることがありますが、メンテナンスの手間が少なく、長期的なコストパフォーマンスに優れる点は大きな魅力です。
次回は、「防水シートとは？」です。