屋根というと、多くの人は外側に見える屋根材だけをイメージしがちですが、建物を長く守る上で、屋根材と同じ、もしくはそれ以上に重要な存在が「防水シート(ルーフィング材)」です。

屋根材は雨を受け止め外部へ流す一次防水ですが、それだけで建物内部を完全に雨水から守ることはできません。
台風時の横殴りの雨や、複雑な形状の屋根、経年によるわずかな隙間など、さまざまな条件によって想定外の方向から水が入り込む可能性はあります。
そのため、屋根内部で雨水の侵入を食い止める二次防水として、防水シートは欠かせないのです。
ルーフィング材にはアスファルト系や、防水性と透湿性を併せ持つ透湿防水ルーフィングなど、いくつかの種類があります。
従来から広く使用されてきたアスファルトルーフィングには、粘着式や改質アスファルトルーフィングなど種類が豊富でコスト面でも選択の幅が広く、施工性に優れている一方、経年による硬化や破れが起こり得るため、屋根の葺き替え時には一緒に張り替えることが一般的です。
一方で、透湿防水機能を持つタイプや高耐久の合成高分子系シートは、建物内部からの湿気を逃がしながら雨水を外側で受け止めつつ、内部の湿気を逃がす仕組みになっており、近年の住宅の高断熱化や長寿命化の流れに合わせて採用が増えている。 防水シートが求められる背景には、日本の気候の特徴が関係にあります。
台風時の横殴りの雨、年々増加する豪雨、積雪や強風など、屋根面にかかる負荷は地域や季節によって大きく変化します。
特に複雑な屋根形状や勾配の緩い屋根の場合、雨水が流れにくくなることで、屋根材のわずかな隙間から雨水が入り込むことがあります。こうした状況で下地への浸水を防ぐには、ルーフィング材の適切な性能が求められます。
また、住宅の高気密化が進んだことで、内部結露への配慮も欠かせなくなり、透湿性能を備えたルーフィング材の需要が増えています。 なお、防水シートは素材そのものだけで性能が決まるわけではありません。
シートの重ね幅、留め付け位置、立ち上がりの取り方など、施工手順の精度によって防水性能に違いが生じる要因となることもあります。
どれほど高性能なシートを選んだとしても、施工が不適切であれば本来の効果を発揮できない。
一般的なアスファルトルーフィングについても、適切な施工が行われていれば、二次防水として十分にその役割を果たします。

この点から、防水シートも屋根材と同様に“材料選び”と“施工品質”の両方が揃ってこそ、本来の性能を発揮します。
建物の屋根は、普段目にすることが少ない部分であり、内部で進行する劣化は気づきにくいです。
そして、屋根材と下地の間に敷かれた防水シートは、建物内部を雨水から守る役割を担っている。
この“見えない防水層”を正しく理解し、建物に適した種類を選び、適切に施工することが、結果として建物の寿命を延ばすことにつながると思います。
次回は、「冬型屋根結露の恐怖! 」です。